「Lステップ導入しない場合の機会損失ってなに?」あまり知られていないLステップ活用事例を聞いてみた!

「Lステップ導入しない場合の機会損失ってなに?」あまり知られていないLステップ活用事例を聞いてみた!

今回は、LステップマーケターにLステップの導入メリットや、あまり語られてこなかった事業拡大のための活用事例を聞きました。

僭越ながら、私もLステップにかなり詳しいほうだと自負していて、構築が出来るのはもちろんのこと「Lステップを用いたマーケティングの効果測定」に限った話であれば、数年前まで日本で一番やりきったと言えるぐらい”苦しんだ”自信があります。(あれから特に機能が大幅に変わったわけではないので、今でも通用する部分は多いかとは思います。)

Lステップは「売上を上げる!リピート率を上げる!」という名目で導入メリットが謳われることが多い一方で、Lステップに詳しいからこそ「本当にそうかな?」と思う点が多いからです。

というのも、マーケティングには「集客 →  引き上げ(来店・商談化・リピ促進)  → 商談 → 成約」というフローがあり、主に「引き上げ」を担うLステップが向いていない会社・業種は一定数いるはずです。

本インタビューでは「集客向上します!リピート率アップします!」という表面上のメリットに留まらず、より深い考察と、「引き上げ」以外にもっとインパクトがあるような使い方はないかという部分を議論しました。

今回は

  • 「Lステップ導入ニーズ」
  • 「Lステップを導入しないともったいないと感じる企業」
  • 「あまり語られていない使い方」
  • 「成功しているアカウント事例」

などについてお話を伺いました。

Lステップの導入ニーズは「集客」「工数削減」の2つ

野口

古河さん、本日はよろしくお願いいたします。

まずは簡単に貴社の紹介をお願いいたします。

古河

株式会社Regaloの代表取締役 古河優弥です。2021年LINEマーケティング支援・WEB広告運用代行事業をメイン事業とし、現在4期目です。


実績としては、累計100社以上のアカウントの構築・運用などの実績があり、国内トップクラスのLINEアカウントの立ち上げから年商数十億規模まで責任者としてリードしました。


戦略から要件定義・構築・保守までLINEマーケティングに必要な工程すべてに精通していて、LINE・Lステップのマーケティングには自信があります。

野口

ありがとうございます。

では、早速Lステップの話に移っていきますね。


Lステップを導入する企業のニーズはどういったものがありますでしょうか?

古河

Lステップは、「マーケティングオートメーションツール(MAツール)」なので、導入理由はざっくり2つです。

「① 売上を上げたい、②自動化して工数削減したい」ですね。


「① 売上を上げたい」という集客面ですが、既存のお客様のリピート率アップが課題であることが多いですね。言い換えれば、「自社リストの活用方法が分からない」という課題感です。


「②自動化して工数削減したい」は、Chatbotの導入理由と似ていて、具体的にECでいうと、電話やメールなどのお客様対応の負担が多く、業務が煩雑になるため、問い合わせ対応を自動化、FAQを常に参照できるようにツール化するなどがあります。

KPIはなに?導入メリットとして、実はよく間違われること

野口

なるほど。Lステップを導入すると、どう変わりますか?

古河さんが商談の時にお話しされている導入メリットをお聞かせください。

古河

代表的なものでいえば、顧客別のアプローチであるセグメント配信をしませんか?とお話しします。


ただリストを取って、全体に向けて発信しているケースがほとんどだと思うのですが、見込みのないお客様に配信するとコストがかさむうえに、効果があがりづらいというデメリットがあります。


売上が上がるという全体的なお話しよりも、「無駄なコストを削減しながら、効果的な配信をしましょう。」という主旨でお話ししています。

野口

商談中には、KPIはどこに置いて話すことが多いですか?

古河

結論、「リピート率UP」を全体KPIとおいて、その中で「予約率」「クーポン使用率」に分解することが多いですかね。


「リピート率アップ」をKPIとして置いた時にはたとえば「5回以上来店してもらおう」という一定の基準を弊社の中で持っておりまして、そのために「強めのインセンティブがあるクーポンを出す」などの施策提案をしています。

野口

逆に、商談の中で、「お客様が期待しているが、Lステップだけでは解決しづらい点」はどういう点が多いですか?

古河

よくあるものでいうと、「データ分析をLステップ上ですべて完結させたい」といった期待はLステップだけでは不十分であることが多いです。


というのも、結局はCSVに落として分析し、施策を立てるというPDCAサイクルを回すための作業は必ず発生します。


もちろん、分析の支援なども弊社で行っていますが、そもそもの期待値が「Lステップ上で分析を完結させたい」というものですと、期待値のズレが発生するので商談ではそこをお話していますね。


たとえば、社内にスプレッドシートに触れる人がいない、みたいなケースだと特に現実的ではありません。

野口

まさに、その点は同意するところです。

私も (本コラムの冒頭で書いたように) Lステップのデータ分析をかなりやりこみましたが、Lステップにもデータ分析機能はあるものの、分析時に綺麗にクロス分析などで完了するケースはまれで、データ加工などかなり泥臭い業務が付随します。


「データ分析」というのは常にトレンドとなっていますが、実態はExcel・スプシでの「データ加工」など泥臭い業務もセットになりますよね。


POINT:「データ分析」の工数を甘く見積もらないことが大事!思ったよりも工数がかかる覚悟で!


古河

他にも、決済機能も近々リリース予定という情報もあるのですが、決済連携も現状あまり企業が求めているオペレーションにならないことがあるので、決済連携のオペレーションにマッチした要件になっているかは要注意です。

こんな企業はLステップ導入しないともったいない!

野口

続いて、「Lステップを導入しない場合の機会損失」は何だと思いますか?

つまり、「もったいないな」と感じる企業の特徴はなんでしょうか。

古河

高単価商材のサービスは全般当てはまると思います。


というのも、高単価商材は基本的に検討期間が長いからです。

リストインしてから、出来る限り「想起してもらいやすくする」状態を作る役割としてLステップはおすすめです。


うまくいった事例として、「オンラインスクール」を長く担当していた時期があったのですが、既存リストの商談化が5%でも増えれば、売上に対するインパクトは非常に大きく、月に1,000万円ぐらいの売上インパクトがありました。


もちろん他の施策などの連携もあるので、一概にLINEだけではないですけどね。



野口


高単価商材はまさにそうですよね。

検討期間の長いサービスで想起を取るという文脈で言えば、Youtubeなども同じく検討期間が長い商材にあてはまる施策ですね。いずれにせよ「検討期間が長いなら想起をとりにいく」という考え方が共通していると思います。


POINT:「高単価」 「検討期間の長い」商材は想起を取りに行け!



そして、おっしゃっていただいたように他の施策の連携も見捨てちゃいけない側面だと思います。


逆に、うまくいかない事例だとどういうのがありますか?

相談いただいても効果が発揮しづらそう、みたいなケースですね。


古河

それでいうと、「既存リストも少なく、新規集客チャネル獲得リソースがかけられない場合」ですね。

「LINEに登録してもらう」ということが簡単なことではないという前提があります。

ですから、「広告費をかけられない」「リピート率アップしてLステップ構築・運用のためのコスト回収できるほどの販売個数がない」などは向かないかもしれません。

基本的にその場合は、弊社も「Lステップ」ではなく、「公式LINE」の構築を提案し、集客がうまくいき、リストも溜まった段階でLステップを構築することを提案しています。

野口

とても重要な論点だと思います。


データ分析コストや一斉配信の送付など導入後もそこそこリソースが必要となってくることを踏まえると、「新規集客チャネルのための広告 or 営業リソース」「既存リスト」のどちらかが十分でない限り、トータルで見たときに赤字になってきてしまいそうですね。


POINT:LINE登録までが難しいという認識を持つべし!新規集客チャネルの開拓は依然必要!


古河

他に「もったいないな」と思う特徴としては士業などもそうだと思います。

私たちも士業の支援が出来ないかと色々アプローチしているのですが、やっている企業が少ないです。

つまり、LINEマーケに取り組んでいる士業の「競合が少ない」状態なので、もし士業の方が活用すれば、「比較的競争せずに想起を取りに行ける」かと感じています。

しかも、弁護士事務所などですと、お客様は出来る限り顔出しせずに相談したいというセンシティブな問題を抱えている可能性もあると思いますので、商材ともマッチするのではと感じています。


POINT:競合が多い業種はLステップが競争優位になりえる!「顔を出したくない」などの顧客心理も想像すべし!


あまり語られていないLステップの使い方「労務管理」「マーケティングリサーチ」

野口

ちなみに、ここまで話していたのが、「集客」「工数削減」でしたが、あまり語られない使い方はありますか。


古河

いくつかあります。

まず「社内の業務改善、特に勤怠管理、労務管理面」です。


飲食店の例で、店舗に対する満足度をLステップ内でアンケートを実施したのですが、分析してみると「日によって満足度が違う」ことがわかりました。


その日のシフトを確認してヒアリングすると、スタッフの対応が悪かったなどの原因がありました。


日々の勤務態度とかは見えない問題で顕在化することが少なかったのですが、Lステップのデータを現場の店長やリーダーに共有して「見える化」できたので、労務管理に活用できました。

野口

これはまさにおっしゃる通りで、この労務管理の文脈でLステップが語られることは少ないのですが、私も実際のクライアントで活用事例を存じ上げてます。


従業員管理の話なのですが、とある会社さんが、社内のパートタイム従業員の管理で、とあるKPIを管理していまして、日別の達成実績などをLステップで自動でリマインドし、データ入力をしてもらうというケースがあります。


LINEは誰でも使っているので、パートタイムやタイミーなどのスポットバイトの人たちにもわざわざ自社でメールアドレスを発行したり、スプシを配布したり、労務管理システムの権限付与の必要ないのでレクチャー工数もいらないですし、従業員もLINEで簡単に登録・入力・連絡できるので負担は大きく軽減します。


POINT:アカウント付与や情報入力依頼のためのコミュニケーション工数は意外と多い!社内の管理メンバーや情シス担当からヒアリングすべし!


古河

ユーザーインタビューでの活用例もあります。


例えば、アパレルの女性向け商品のケースですが、「ピンク系の色」を商品開発で想定していたところで、アンケートを取ってみると「ネイビー系の色」のほうが反響があって、商品開発に反映するなどです。


ほかにもラーメン屋さんの新しい商品を開発する場合の味の調査などでも活用しました。


Lステップでは、ユーザーインタビューもタグを事前に切り分けて、「居住地」「年齢」「ロイヤルカスタマー」など限定したヒアリングが可能です。


利益もそうですが、長期的なブランディングの方向性を決めるうえでも有効です。


POINT:ユーザーインタビューにLステップで特定層にアプローチできる!商品開発やオペレーション改善のPDCAに役立てるべし!


事業を飛躍的に伸ばしうるLステップの活用事例「メディア化」

野口

再度、集客面の話に戻りまして、「この企業のLステップの使い方上手だな」と古河さんが思うアカウント事例はありますか?

古河

不動産仲介なのですが「家を買いたい人」「売りたい人」をそれぞれアンケートをとって、リッチメニュー上でマッチングできるようにする座組みがありました。


つまり、Lステップを「メディア化」するイメージですね。


野口

それめっちゃいいですね。

Lステップを「メディア」としてみる、というのは新しいです。考えつきませんでした。

M&Aや人材紹介などにも敷衍できそうな内容ですね。


古河

ホテルとかでも活用できそうな気がしていて、近隣の飲食店の紹介などでポータルサイト化するなどもいける気がします。


野口

ありがとうございます。

色々参考になるお話を聞かせていただきありがとうございました!

まとめ 【インタビューを終えて】


今回も学びが新しくあり、面白いインタビューでした。


本インタビューの内容をまとめます。

  • 「既存リストが多さ」と「導入メリット」は比例する (特に初動)
  • 「LINE登録」までが大変なので、導入すれば「新規集客」が増えるわけではない
  • 「Lステップ」と「データ分析業務」はセット。Lステップ内でデータ分析完結は難しい。
  • 集客だけではなく、社内の労務管理で活用し、業務フローを自動化し販管費の大幅削減を見込める特にパートタイムやインターンなど一時的な雇用などをする際に、わざわざメールアドレスを発行して、業務管理ツールのレクチャーをするよりも圧倒的にラク
  • マーケットリサーチとしての活用。ロイヤルカスタマーに絞って、生の声を聞くことが出来て、即時オペレーションの改善につなげる施策が可能。
  • Lステップを「ポータルメディア」と捉えると、新しいリード活用が可能ex) M&A会社が、買い手側と売り手側にアンケートし、売り出したい企業の一覧リストを公開するなど



結論として、下記すべて当てはまる企業は「Lステップの構築&運営費用を回収できる可能性が高い」ので本格的に導入を検討するべきと考えます。

  • 高単価
  • 検討期間が長い
  • 広告など新規開拓にリソースをかけられる or 自社リストが豊富

上記が必須要件ですが、「自社の労務管理」「紹介系などのマッチングサービス」なども同じく導入効果が高いと考えられます。


もし、LINE/Lステップのマーケティングに取り組みたい方がいらっしゃればぜひ株式会社Regaloの古河さんにお問い合わせください。

以上。

野口 和弘

野口 和弘

Stevens Company株式会社 代表取締役

慶應義塾大学商学部卒。
医療・福祉系のベンチャー企業に入社。新卒入社と同時にDX・デジタルマーケティングを管轄する新部署の立ち上げを任される。 デジタルマーケティングのゼロからの構築と社内オペレーション全体のDX/業務改善、監査対応などに従事。
その後、シンガポールの越境ECコンサルティング会社に日本人2人目のフルタイムメンバーとして転身。プロジェクトマネージャーとして国内アパレルメーカーの海外進出を支援後退社し、当社を設立。
当社設立後は、マーケティングコンサルティング、プロジェクトマネジメント、新規事業立ち上げ支援などをメインに活動。
得意業種は、IT・医療・教育・美容業界。