当たり前の施策のすすめ

当たり前の施策のすすめ

マーケティングでは、広告費予算をどう設定するかという議論は避けて通れません。

広告費はどのように設定すべきか、という話は単純で、事業計画の目標販売数(受注数)から、許容できるCPAから逆算して想定される広告費を導くという流れでしょう。

論点としては、それだけ広告費をかけてをしっかり売上に返ってくるかというものでありますが、これはやってみないと分かりません。

3Cで表されるような「市場」「競合」「顧客」の情報を把握するのは不可能です。

その広告費はビジネスモデルから逆算して決まるわけで、それは同様のビジネスモデルの競合と比べたときにどれぐらいの優位性があるのか、というお話です。

つまり、自社にとって適切な広告費は設定したけど、その広告費は競合よりも多いのか?という視点です。

理論上、同じビジネスモデルであれば、広告費がそれぞれ1,000万円と、100万円であれば、前者が勝つでしょう。

基本的には、投下する広告費が多いほうが、広告枠を獲れるためです。

しかしながら、現実はそう簡単ではありません。

同様のビジネスモデルでも、サービスの品質、コンセプト、機能などが異なりますから、仮に同様の広告費をかけてもパフォーマンスは変わります。

たとえば、WEB広告においては、変数は「アカウントパワー」「オーディエンス(リーチ先のペルソナ)」「表示クリエイティブ」「その他キャンペーン設定」ぐらいが代表的です。

広告費が多いといえど、これらの変数が競合に負けていた場合パフォーマンスが低くなります。

結果的に、その先のシナリオとしては、競合のほうがCPA安く獲得し、事業利益を積み上げ、事業利益を広告費に再投資した結果、結果的に広告パフォーマンスが良い企業がかけられる総広告費を増やすことになります。

とはいえ、ビジネスモデルレベルでの広告費差を広告パフォーマンスのみで埋め合わせるのは非常に難易度が高いため、簡単にできることではありません。

集客チャネルレベルの話をすると、集客を広告だけに依存するだけではなく、特にtoBであれば、営業力が強い会社はいかに競合がより多くの広告費をかけていても、負けないこともあります。

営業人件費も広告費に換算するとわかりやすいですが、営業が強い会社は、アプローチ数が多く、商談獲得率が高く、さらに営業成約率が高いため、許容できる人件費が多いわけですね。

集客チャネルのオプションは出来る限り多く持つ方がいいですが、時間もお金も限られているので、パフォーマンスが高い施策に広告費を寄せていく(アセットアロケーションといわれる)のがセオリーです。

自社にとって、競合優位性はなんなのか、について「集客において」という枕詞をつけるならば、「どの集客チャネルのパフォーマンスで競合凌駕しうるのか」という話につながります。

競合を見るな!顧客をみろ!という主張はマーケティングとしては当然なものの、顧客の購買理由から逆算したときにやはり代替商品や、競合サービスとの比較で決まることが多いため、そこを無視することは単純に自社の伝えたいことを伝えているだけになってしまうリスクがあります。

言ってしまえば、かなり当たり前ですが、集客の基本的な土台であるため是非思考のきっかけにしてもらえるとうれしいです。

そして、最初に述べた通り、それらはほとんどがやってみなければ分かりません。

施策アイデアは無数にありますが、基本的にはセオリー通りに「当たり前のことを当たり前にやる」ことをおすすめします。

事業計画を作って、会社の目標を決めて、必要なリード数、商談数、受注数などを割り出して、どれぐらいの広告費をかけられそうか、などを数値を整理すること。

その次に、とりあえず顕在層の多いであろうGoogleリスティングから広告費に投下してみる、とかホームページは問い合わせにつながるように導線設計をする、とか顕在キーワードや自社特有の強みを持つキーワードでロングテールキーワードで記事をかいてみるとか。

逆に、広告費を消化するのは怖いから、あっと驚くゲリラマーケティングをしたい、とかSNSでバズを狙う!とか展示会に出してみよう!は期待値がかなり低いばかりか、ボトルネックもわからないので改善すら回せないのでおすすめはしません。

しかし、世の中で言われるマーケティング成功事例で出てくるのは、そういう事例が多いので、そこに引っ張られるのもわかります。

それでも、まずは当たり前の施策からはじめてみる、という原則が中長期的にみると自社にとって一番いいのではないかと思います。

マーケティングに関してご相談がありましたら、ご連絡ください。

野口 和弘

野口 和弘

Stevens Company株式会社 代表取締役

慶應義塾大学商学部卒。
医療・福祉系のベンチャー企業に入社。新卒入社と同時にDX・デジタルマーケティングを管轄する新部署の立ち上げを任される。 デジタルマーケティングのゼロからの構築と社内オペレーション全体のDX/業務改善、監査対応などに従事。
その後、シンガポールの越境ECコンサルティング会社に日本人2人目のフルタイムメンバーとして転身。プロジェクトマネージャーとして国内アパレルメーカーの海外進出を支援後退社し、当社を設立。
当社設立後は、マーケティングコンサルティング、プロジェクトマネジメント、新規事業立ち上げ支援などをメインに活動。
得意業種は、IT・医療・教育・美容業界。