ひとり人事で採用強化って無理ゲーに近くない?って話

ひとり人事で採用強化って無理ゲーに近くない?って話

M&A総研HDのスライド

Xで回ってきたポスト(株式会社LANYの代表の竹内氏のポスト)をきっかけに、M&A総研HD様の採用戦略を拝見しました。

出典: M&A総研HD “2023年9月期 通期 決算説明資料”より

詳しくは添付画像をご覧頂きたいのですが、コンサルタントを採用するためにYoutube採用チャンネルの運用、エージェント、ダイレクトリクルーティング、採用イベント、リファラルなど多様な採用チャンネルを明確なKPIを引いて、多大なリソースを投下し、仕組み化しモニタリングしているとのこと。

圧巻です、すごすぎる!

ここまでやって、やっと採用がうまく行っているわけです。

逆を言うと、大企業でもベンチャーでもよく見られるような動き、つまり「よし、私たちも採用力入れるぞ!(採用担当者)さん、とりあえずwantedlyやビズリーチ契約しましょう。社員のみなさんもどんどん紹介してください」といった形で、ひとり人事に丸投げで、人事担当者が普段の業務の片手間で採用強化のためになんとか頑張るみたいなケースでうまく行くケースはほぼないと言い切ってもいいでしょう。

特に部長職以上(役員候補)はもちろん、専門職や課長レベル(ディレクター・アナリストレベル)からの採用だとほぼ無理だと考えます。

シンプルに母集団形成がうまくいかないはずです。

それでうまく行くケースがあるとすれば、かなり少数の直近の採用のみで十分な場合、もしくはとんでもなく優秀な採用担当者が存在してるはずです。

(後者だとすると、その担当者には相当な負荷がかかってるはず…)

採用がうまくいっているケースの特徴3つ

私の知る限りで、採用がうまく行ってる会社のケースは主に以下3つのケースに分けられると思います。

【① 会社がブランド化しており常に人気(外資系投資銀行/コンサルやGAFAレベルやトップクラスのユニコーン企業など)】

このケースはもう再現性ゼロとみなして良いでしょう。ブランドはもちろん給与水準もトップクラスなので真似できません。

(一方、これらの会社ももちろん世界中でトップクラス企業同士で鎬を削りあっているわけです。)

他の2つの選択肢としては、

【② 冒頭にあげたM&A総研HD 様のように、採用チャネル拡充にコストをかけ、KPIを達成しうる業務フローを整備し、十分な採用担当者をアサインし、人的リソースを投下して、仕組み化しきる。】

まさに添付画像がお手本です。再現性はありますが、ここまでやりきるってめちゃくちゃ難しいです。

勘違いされないように補足すると、お金をかけたらできるという戦略ではもちろんありません。

仕組み化と簡単に言えど、資料にも記載の通り、ダイレクトリクルーティングのスカウト文の送付や、採用にはエージェントとの関係性の構築や、採用担当者と現場事業部との連携や、面談を踏まえて採用基準を都度調整する、など数えきれないほどの見えない業務があるわけで、これを人事・採用担当者に丸投げでうまく行くはずはありません。

加えて、多少コストをかけただけでもうまくいきません。(※ インセンティブ設計だけでも難しいかと考えます。)

高額なダイレクトリクルーティングサイトを契約したとしても、エージェントさんに高額な紹介手数料を提示しても、応募者は人生かけた転職なのですから、転職サイトで定型文が一斉に送られてきたり、とりあえず紹介手数料目当てのエージェントさんにとりあえず受けましょう!と紹介されて、よしここに決めた!とはなりません。)

【③ 社長含め社員全員が採用の重要性を理解し、全体で連携する】

いわゆるスクラム採用と呼ばれるケースがこれにあたります。

(スクラム採用は”株式会社HERP様が提唱したようです。

めちゃ余談ですが、私はHERP様のサービスを使ったことがないですが、HERP様のサービス説明をだいぶ前に聞いたときに、営業担当者の方がめちゃくちゃ丁寧で「HERPさんって凄くいい会社だなぁ」と一回でファンになりました。)

採用部署に丸投げではなく、部署横断で密に連携を取れています。

社内採用広報とでもいえるレベルで社内向けに強く採用の重要性を周知させられています。

社長様が積極的に発信したり採用の重要性を繰り返し伝えたり、優先的に採用面接にスケジュールを割いたり、一次面談から出て会社の想いを熱心に口説いたりしています。

社員様が採用の重要性を理解し、熱量の高い社内報を書いたり、リファラルで積極的に紹介したり、採用イベントに積極的に協力しています。

(プライベートで知り合ったアトラエ株式会社様の従業員様のお話を聞いたときも、このケースに当てはまりました。アトラエ様凄いです。多方面に媚び売っているみたいで恥ずかしいですが、めちゃくちゃ本心です。)

コストが比較的少なくて済み、個人的に最も目指すべき姿としてはこれだろうなと感じてます。(※ ②の手法と併用するのが良いでしょう。)

めちゃ文章が長くなりましたが、採用は絶対に一長一短、テクニックだけではうまくいかないですし、繰り返すように応募者からすれば人生をかけているわけですから、採用側も熱量をもって、リソースを投下し、誠実に対応しましょうという話です。

以上になります。

ここまで読んでいただいた方々誠にありがとうございます。

弊社では、採用母集団形成、カルチャーマッチしやすい面談手法、採用後の人事制度設計などのコンサルティングも承ってますので、ぜひお声がけください。

野口 和弘

野口 和弘

Stevens Company株式会社 代表取締役

慶應義塾大学商学部卒。
医療・福祉系のベンチャー企業に入社。新卒入社と同時にDX・デジタルマーケティングを管轄する新部署の立ち上げを任される。 デジタルマーケティングのゼロからの構築と社内オペレーション全体のDX/業務改善、監査対応などに従事。
その後、シンガポールの越境ECコンサルティング会社に日本人2人目のフルタイムメンバーとして転身。プロジェクトマネージャーとして国内アパレルメーカーの海外進出を支援後退社し、当社を設立。
当社設立後は、マーケティングコンサルティング、プロジェクトマネジメント、新規事業立ち上げ支援などをメインに活動。
得意業種は、IT・医療・教育・美容業界。