過去1年で株価2.3倍のサンリオから学ぶ国内IPコンテンツの海外展開

過去1年で株価2.3倍のサンリオから学ぶ国内IPコンテンツの海外展開

みなさんご存じのキティちゃんやシナモロールのサンリオですが、業績・株価が伸び続けています。

株価をみてみると、
1年前と比べると、2,827円(2024/03/04) -> 6,553円(2025/03/04) 約 130%増加 (約2.3倍)
2年前と比べると、1,446円(2023/03/06) -> 6,553円(2025/03/04) 約 350%増加 (約4.5倍)


時価総額は約1.5兆円で、PERも約39倍でかなりの高水準です。

今年度は『ハローキティ』が50周年で国内テーマパークのインバウンドなどの施策がうまく寄与しているという伸び率はあるようですが、直近数年の伸び率をも見ても、一過性のPR施策がうまくいっただけではないコンテンツIPとしての力強さがあります。

そもそもサンリオが上場企業であることすら知らないという方も少なくないでしょうし、
時価総額が1.5兆円にもせまることも知らない方も多いと思います。

ちなみに、私はサンリオが上場企業であることは存じてましたが、
昨年9月の段階で株価が約 3,800円ぐらいだったときに、
恥ずかしながら、時価総額が8,000 ~ 9,000億円ぐらいあることを初めて知りました…

そこからたった半年で今は時価総額も昨年10月に1兆円は優に超えて今や1.5兆円ぐらいあるという成長率です。

もちろん、時価総額・株価だけではなく業績も好調で

25年3期Q3累計だけの業績でも
売上高1,047億円(前年同期比44.7%増)
営業利益410億円(前年同期比92.1%増)
です。

ホームページなどを見ても、IRがとても丁寧で、資料もわかりやすいです。

(画像出典および参考株式会社サンリオ「2025年3月期 第3四半期決算説明資料」2025年2月14日)

特筆すべきは、海外市場の伸びで
国内利益の伸びは約80%増加とただでさえ好調ですが、
海外のセグメント利益の増加率も
欧州 +343.3%
北米 +257.5%
とかなりの伸びで、
イメージとして、サンリオは海外での認知度はすでにありそうなものの、
まだまだ市場としては伸び率があり、開拓余地が見込まれます。

逆に言えば、「今後の伸び率も海外での開拓余地はどれぐらいあるのか」にかかってきそうです。


私自身の海外サンリオのプレゼンスを感じた思い出としてもひとつありまして、
10年前にカナダのトロントに留学したのですが、
その際に事前にホームステイ先に2歳の女の子がいることを聞いており、
ハローキティのバッグをプレゼントしました。

すると、お子様はまだ小さかったのでほぼ認知してなかったのですが、
「ワオ、ハローキティー!!」とお母さまがすごく喜んでくれて、うれしかった記憶です。


私自身、やや俗っぽい言い回しで申し訳ないですがサンリオのような日本らしさのある「kawaii文化」が海外に広く認知され支持されていることはすごくうれしいです。

ちなみに私もアメリカントイ集めが友人に若干ひかれるぐらい好き(マジです)で、私が米国トイカルチャーが好きなことと同様に海外の方々が日本のコンテンツに思い入れがあることに感動を覚えます。

(資料だけでは、北米・欧州の伸び・認知の広がりの臨場感がまだわからないので、もし現地在住の方々がいらっしゃればぜひ教えてください。非常に興味があります。)

海外に展開したい企業が、こういったすでに海外認知をとれている国内IPと組んでPRをするというのはかなり有効な施策だと思いますし、日本のプレゼンスをあげるという文脈でも意義がある取り組みと思われます。

実際にそういった事例はまだリサーチ不足で見聞きしてないですが、調べてみたいと思います。

以上

野口 和弘

野口 和弘

Stevens Company株式会社 代表取締役

慶應義塾大学商学部卒。
医療・福祉系のベンチャー企業に入社。新卒入社と同時にDX・デジタルマーケティングを管轄する新部署の立ち上げを任される。 デジタルマーケティングのゼロからの構築と社内オペレーション全体のDX/業務改善、監査対応などに従事。
その後、シンガポールの越境ECコンサルティング会社に日本人2人目のフルタイムメンバーとして転身。プロジェクトマネージャーとして国内アパレルメーカーの海外進出を支援後退社し、当社を設立。
当社設立後は、マーケティングコンサルティング、プロジェクトマネジメント、新規事業立ち上げ支援などをメインに活動。
得意業種は、IT・医療・教育・美容業界。